+日常と告白+

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「…どこにいるんだ?」 途切れ途切れに聞こえる声の主を探して移動しているが、どうやらその人も移動中らしい。全く見つからない。 相手に気づかれないように慎重に歩いているから尚更だ。しかも追い付きそうになったら見計らったように声が途切れるから余計見つけにくい。 何故か足音しないし。 「……え、ちょっとまって?足音がない?って…幽霊!?……いやいやいやいや。」 頭の中に浮かんだ非現実的な可能性を即座に断ち切る。自慢じゃないがそっち系の能力は皆無だ。 出来れば開花して欲しくもない。 「……わか…だ…ぶ」 だぶって何だ。 ようやく言葉として認識出来るような間合いに入ったらしく、俺は耳をそばだてた。……なんか聞いたことがある声なんだよなぁ…。 しつこいようですが、幽霊の知人はいません。 「……もうちょ……あっち?…大…ぶ、……さない…。私が……たい助けるから。」 大分聞き取れるくらい近づいたらしく、声の方向にこっそり顔を覗かせる。そこにいたのは…。 「―――…~~~ッ!?!?」 いきなり茂みをかき分け出した人物をようやく視界に捕らえて、俺は絶叫しかけた。反射的に手で口を覆ってそこから飛び出そうとする声を無理矢理押し込んだら咽頭と喉頭が悲鳴をあげた。 けど、そんなこと構ってる間じゃない。 「……あの女…っ!」 そこにいたのは、紛れもなく今朝不幸の予言をした女だった。  
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