+日常と告白+

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「―――――ッ!!」 一瞬にして襲ってきた両腕及び植木に突っ込んだ背中の痛みに、悲鳴にも似た音が漏れる。瞬間的に真っ白になる意識の端で小枝が折れる短い高音が断続的聞こえた。 息が詰まる。背が焼け付くように痛い。急激に上昇する体温のなかで、腕の中にいるものとの温度差が、俺の意識をどうにか繋ぎ止めた。 背中が痛い。何より痛い。そりゃあもう痛い。もしかして、いやもしかしなくても刺さってんじゃないか? 「……も、やだ。ホントに厄日。」 痛みで自然と閉じようとする目蓋をこじ開けて腕の中を見れば、きょとんとしたヤツがいた。 「……あー…怪我は?」 びっくりするぐらい声が掠れてて、頭の中の客観的な部分が吹き出した。失礼な。反対側の主観的な部分がそれをたしなめる。 「…だい…じょうぶ。」 「そ。なら良かった。」 俺は全く大丈夫じゃない。いや、そっちが元気なら構いませんけどね!助けに入って怪我されたら自己嫌悪に陥るから! 「……あー…取り敢えず、どいてくれる?」 アナタの重みで未だに背後でパキパキ聞こえますのよ。……痛い。 心の声が届いたのかは分からないが、ヤツはハッとしたように俺の懐から飛び退いた。  
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