+日常と告白+

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っていうかさぁ、ブレザーってある程度分厚いよね!?そこんとこどうなのよ! 痛みを紛らわす為に俺は懸命に意識を反らす。でもやっぱりあまり効果がなくて、吹き出してくる脂汗と熱を食い止めれない。 無意識に握りしめた拳のなかで、小石と砂がジャリッと嫌な音を立てた。 「…あー…製造業者にもうちょい強度のあるやつを作るようにクレームを出しとこ…。」 取り敢えず枝に貫通されないぐらいなのには、最低でも改良してもらわなくてはならない。このままでは俺のような可哀想な体験をする人をつくりかねない。 痛みでだんだん訳が分からなくなってきて、どうでもいい方向に意識が向いてしまう。いかん、今自分が何をすべきかが全然分からない。 もういっそ寝ちゃったらどうでしょう。別の意味でポジティブシンキングを発揮し始めた前頭葉が俺に語りかける。 ……それも良いかも。この痛みから逃げられるなら。 ゆっくりと目蓋を下ろし始めた時だった。 「……?………ッ!?」 フワリとフローラルに匂いがしたと思ったら、次の瞬間に何かが鼻をくすぐって、くしゃみをしようと眉間にシワを寄せた時にそれが何かようやく気づいた。 目を見開いた時には温かな重みがあって、細いものが背中に巻きつく。 ……腕だ。抱きつかれてる。  
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