+日常と告白+

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冷静に判断出来たのはほんの5秒ぐらいだった。むしろ呆けてたっていった方が正しい。 「――おぅわっ!ちょ、何してんの!?」 年甲斐にもなく真っ赤になって動揺する俺。ヤバい、心臓に負担が…。ただでさえ痛みで心拍数が物凄く上がってたというのに! 挙動不審に陥る俺とは対照的に、ヤツは冷静かつ簡潔に答えた。 「血…。止めないと。」 どうやら止血してくれてるらしい。そういえば背中にハンカチが押し当てられている。 「えっと……ありがとう。」 「なんでお礼を言うの。」 「なんでって…止血してくれてるから。」 それ以外に何があるんだ。礼を言うのは当然だろう。 「私のせい、なのに?」 声が震えている気がした。 「私が落ちたから怪我したのに…私のせいでこんな目に遭ったのに、なんでお礼なんて言うの!」 …何で俺が怒鳴られてるのよ。 いい加減斜め右向きに進路を変更しだした思考は正常なツッコミすら出来ないようだ。怒鳴るっていうより、悲鳴みたいですから。 「……なんでって言っても…ありがたいからじゃん。それに俺が助けたかったから助けただけ。あんたが無傷でほっとしたのも俺なんだから気にすんな。」 ……何か日本語がおかしい気がする。日本語はあってるかもだけど、流れが若干おかしい気がする。  
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