+日常と告白+

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「それで?何が起こったの。」 保険医は俺のブレザーを慎重に脱がしながら言う。ヤツもそれを手伝っていた。 「……木に……突っ込みました…イテッ!」 「ああごめんなさい!痛かったわね!ちょぉっとこれ刺さってるわ。痛そー!」 痛いんだって。脂汗ダラダラなんだって。 「何で突っ込んだりしたのよ。背中すっごいことになってるわよ?」 彼女は手元に集中しながら問う。傍らにいたヤツが小さく怯えるように震えた。 「それは…」 「俺が!……バランス崩して、思いっきり、倒れちゃっ…たんです。イダダダッもうちょい優しく!」 背中の激痛に息が上がる。取り敢えず、ヤツのフォローは出来ただろうかと霞む視線を動かせば、今にも泣きそうな双眸に辿り着いた。 気にすんな。そういう思いを込めて無理矢理笑顔を形作った。 「……ばか。」 なぜか叩かれました。 保険医は俺たちのコンタクトに気づいているのかいないのか、あちゃー…とかうわぁ…とかを繰り返している。人の背中見てそれはあんまりだと思うんですが。 取り敢えず、痛い。 「えっとねぇ…春日くん、これから病院行っておいで。」 「はい!?」 いきなり何をおっしゃるんですか先生!  
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