+日常と告白+

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「そこまで酷くはないと思うんだけど、深くまで刺さってるのもあるし。ここで引っこ抜くの怖い枝があるから……あぁ、もし背中で折れちゃったら困るって意味ね。ここじゃ十分な器材がないし。 だから、取り敢えず病院行って抜いてもらって、きちんと消毒してもらって来て。化膿止めもちゃんと忘れず貰うのよ。」 丸椅子をくるりと回転させて、保険医は俺と目を合わせて指示をする。 悪いが、今の俺の思考は80%が痛みに支配されいてる。そんなすらすら言っても頭に入んないってぇ。 しかしそれよりも大きな問題があるんだ。 「……病院…きらい…」 消え入るような声だったけど、俺は主張した。病院なんて大嫌いなんだ。むしろ恐怖の対象だ。その名詞を聞くだけで焦燥感と不安感と逃げ出したい衝動に駆られる。 今まで以上に顔色が悪くなって小さく震え出した俺をチラリと一瞥して、保険医は何事もなかったかのように備え付けのインターホンに手を伸ばした。 「……あ、もしもし保健室の河瀬です。春日くんが怪我をしたので、お家の方に連絡取ってください。………はい、病院に行かせようと思ってますので、その旨も伝えてください。………はーい、ヨロシクお願いしまーす。」 おーいッ!!  
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