+日常と告白+

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しかもなぜか朝練の時も凄い。皆部活はいいのかよ。 「バスケ部は顔が良い子達が揃ってるからねぇ。陸上部も中々のものだけど、やっぱり私はバスケ部が一番だと思うわ。」 「なん…ですか、その、いい男リサーチ…は。」 恐ろしい…きっと趣味にしてやがるな。 強がってはいるが背中の痛みに未だ息が上がって脂汗ダラダラな俺の額に、ヤツがティッシュを押しあてた。 「……さん、きゅ…」 「辛いなら、黙ってた方が良いんじゃない…?」 「いや、黙ってたら、痛みに集中しちゃう……から。話してるぐらい、が…ちょうど、いい。」 本当は喋ってるのも辛い。けど背に腹は代えられないし、何より平気そうにしてないとヤツが自分を責めそうだから。 だから、口は動かしとく。 「色男ぉ!」 「もうあんた何なんですか…」 疲れる。 「部活って、いえば……あんた」 何部?と聞こうとして、俺ははたと口を閉じた。記憶を手繰り寄せてもやはり思い至らなくて、別の質問をする。 「……俺、名前…知らない、よな?」 こんだけ一緒にいて。こんなに濃い体験してて。名前、聞いてなかった! ショックを受けたのはヤツも一緒だったらしく、その細くて白い手を口元にやって小さくあ、と漏らした。  
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