+日常と告白+

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「あ、そうそう春日くん。ちょっと気になってることがあるのよね。」 「……なん、ですか…」 俺はあんたと話したくないんですが。疲れるから。 「さっきブレザー脱がしたじゃない?あの時気づいたんだけど…」 保険医は無惨な姿になった俺のブレザーを開き内側を見せてくる。 「これ、裏地がないんだけど。もしかして今まで気づいてなかったの?」 ……嘘だろ?ない、ないんだけど!! 「その様子だと今気づいたみたいね。」 「……今まで、寒くなかったの?」 「中、着込んでたから…」 ショックがでかい。そりゃ枝も貫通するよな!! 項垂れる俺を蔑むように背中の疼痛が酷くなる。流れる脂汗を凉城が拭き取ってくれた。 「……後で、絶対…クレーム、出す…」 新しいブレザーは早めに届けてもらわねば…。 散々だ。ちょっと自分がいたたまれないので、俺が裏地に気づかなかったのにも責任があるけど、それを製造した業者が全て悪いと思い込むことにした。 じゃないと挫ける。確実に挫ける。この後病院にも行かないといけないのにその前に昇天してしまう。 「何か……春日くん、今日は厄日ね。」 言わんでください。  
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