+日常と告白+

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「………俺、お前のことが好きだ。」 俺は真剣な面持ちで彼女に伝えた。 いやいや顔だけじゃなくて心も真剣なんだけどもね。 心臓はまさに早鐘。告白の時は未だ慣れない。慣れちゃいけない気もするし。 真っ直ぐに見つめる俺の目をそちらも真っ直ぐ見つめて、彼女は口を開いた。 「知ってる。」 そして踵を返し学校の方面に向かって歩き出す。俺を置いて。 「…うわっちょい待ちっ!!え、返事は!?」 小走りで追いついて問い掛けたら彼女は振り向いて俺を見て鼻で笑った。 「私は嫌い。」 なんて女だ。 「……それに何回言っても変わらないし。っていうか、何回目?」 「……えと、168回目。」 「那音も懲りない…。」 「だって好きなもんは好きなんだ!」 「ハイハイ169回目。」 「うわっ今のはカウントに入れんなよ!!ムード作ってなかったんだから!」 「ムードなんていつもないわ。」 「ひどっ」 なんて女だ。さすがに傷つくぞ。 じとっと睨み付ける俺を横目で見て、彼女は嘆息した。 「はぁ…。私のドコがいいのよ。可愛くないし無愛想だし。アンタには特に。」 「あぁ、可愛いっていうより綺麗だよね。」 「口説くな。」 ヒドイ。今のは素なのに。  
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