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少女は、人形のようにぐったりと倒れていた。
両手、両足には…手錠と鎖。
食い込んだ部分からは、赤黒い血が流れている。
無理矢理でも逃亡を図った時、手を握ったのか…爪が食い込んで、沢山の痂-カサブタ-。
硝子-ガラス-のような純粋な瞳が、今は…さ迷う、絶望の瞳。
最初は、栗毛色の整ったロングヘアーだったのが…ぐしゃぐしゃに乱れてた。
痛々しいほど、擦り傷を作っていた。
服装は、白いワンピースのみ。
神として、崇められた存在。
古-イニシエ-より、少女は[神]…つまり、犠牲-イケニエ-。
その[神の道具]とは、人間が造り出した…核兵器。
少女は、核兵器を埋め込まれる為の犠牲。
──逃げなさい
少女の頭に響いた声。
大人びた声が、少女を助けようとしていた。
―カシャンッ―
さっきまで、動かなかった少女が…少し動く。
それに反応するかのように、鎖が音をたてて…また、カシャンッと反応した。
鎖があるのに、手応えがないように…動く。
―パチッ―
何処かが作動したのか、少女を痙攣させようと機械が動いた。
―ガチッ―
それは、逆効果だった。
今の少女は、操り人形-マリオネット-でしかない。
そして…少女を止めていた鎖は、砕けてしまった。
それは、もう…失踪した後だった。
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