プロローグ

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 母が数を数える度、羊が現れ、列を作る。  妄想なのか、夢なのか。  真っ暗な闇の中に、ポワッと白く浮かび上がる羊の行列。母の声に重ねるよう、芽衣も頭の中で羊の数を数えていく。 『羊が五匹、羊が六匹……』  そしてちょうど十匹目の羊を数えた時、その羊は列から外れるなりこちらに向かう。背中に何かを背負っているように見えた。
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