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ここは、関東地区のどこかに存在する学園。
名を、"大凰(タイオウ)学園"という。
あらゆる財閥や企業の御曹司が通う、所謂裕福な家庭の進学校。
経済学を学ばせることや、世界情勢をリアルタイムで伝えて学びに繋げることが特徴である。
校則は勿論厳しいが、学校行事には生徒の自主性を尊重させるため、授業以外の実質的な生活はほとんど生徒会に任せている。
「間に合った‥‥」
「兄さん、大丈夫ですか?」
校門前に着き、美唯は自転車から降りて、息を切らして自転車を押す兄を心配する。
「大丈夫だったら‥‥こんな激しい‥‥呼吸にはならん‥‥」
冷たいことを言ってはいるが、それは心配してくれ、と感情を表に吐き出しているのと一緒だった。
朝の挨拶運動を、校門脇で生徒会役員が並んで行っていることに気付く。
「おはようございます」
その中でも、一際輝く女子生徒と目が合った。
笑顔が可愛らしく、一歩間違えばアイドルとして人気を博していたであろう。
特徴的な容姿の女子生徒は、その期待と予想を裏切らず、男子生徒たちに"最高の笑顔"という朝の幸せを届けていた。
突発的なのか、否かは定かではないが、青年はその女子生徒に会釈をしてしまった。
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