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「兄さんも素直じゃありませんね」
隣に並んだ美唯は、青年の顔を見ながら言う。
「そんな人を、確か世間では‥‥あぁ、そうそう」
自転車をロックし、ほとんど何も入っていないカバンを持ち、校舎に入る。
「ツンデレです」
足を止めて、美唯を振り返る。
「あのな、ツンデレってのは、相手に気がある場合のことを言うんだ。俺は誰も好きじゃないから心配するな」
最後の方は、言っている意味が分からない。
だが確かに、青年の言いたいことは分かる。
「???何が、心配するな‥‥なんですか?」
「まぁ、俺の独り言だから、あんまり気にすんな」
「よーし。明日からゴールデンウィークだが、予定が決まってる奴も多いだろう」
教壇に立つ教師が、面白いくらいの低いテンションで言う。
「先生、そんな有り得ない低いテンションで言われても、なんか楽しみが去っていく感じになるんで、もうちょいテンション上げて言って下さい」
青年は、机に頬杖をついてつまらなそうに呟く。
「注文が多いぞ楢崎(ナラサキ)。このシスコンが!」
「誰がシスコンだ!表出ろや!不良教師!」
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