第1話:茜色 Start Day

9/17
前へ
/91ページ
次へ
「お。巷を賑わす不良が、とうとう担任にまで牙を剥くか……」 男性である担任は、ひょうきんにジャブを空に放つ。 勿論、標的は遠くの席に腰掛けて怒鳴る青年である。 階段式の席の教室では、やはり高低差があるため、届かないということに怒りがこみ上げてくる。 「巷を賑わす不良……その存在に格下げしたのは誰だよ!」 青年がキレてしまい、担任を鋭く指差す。 「さ~て、誰かな~?」 分かりやすい言い方で、とぼける素振りをする。 「アンタが黒幕だろうが!学園の新聞部の顧問だからって、ガセネタ流していいってことにはならんぞ!」 「おんや~?随分人聞きの悪いことを言うね~」 「もういい。アンタと話すと、解決しそうな事態でも迷宮入りしそうで、無限ループに引き込まれそうだから嫌だ」 頭を片手で支え、頭痛に苛まれそうになるのを抑える。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加