‡第3章‡

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 ミノリは、そりゃあ最後に会った時から2年も経ってるんだから当たり前だ!と思ったが、曖昧に笑ってごまかした。  その時、遠くで、なにやら笛の音と太鼓のような音が響いてきた。 「母さん、賑やかだねえ」  車から、荷物を下ろしながら、春樹が耳をすませて、懐かしそうに言う。  賑やか?むしろ、かえって寂しいよ!ミノリは、むろん、声に出しては言わないが、心の中で呟いた。  物音一つしない、静かな村の中では、笛と太鼓の音は、かえって物悲しく響いていた。
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