‡第3章‡

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 厚い灰色の雲に覆われ、ただでさえ光量の少ない日だったが、その僅かな光さえも木々に遮られた森の中は、不気味なことこの上なかった。  ミノリは、森の中に入って行くことを、躊躇った。  薄暗い森は、何か、得体の知れないモノが潜んでいそうな、言い知れぬ不安を掻き立てる。  しかし、そんな自分の臆病さが、恥ずかしくなり、半ば自棄になって、ミノリは、森に足を踏み入れた。  薄暗い森の中、頼りない程か細い道は、舗装されていない。
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