紅き月光を浴びて…

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魔物達はニヤニヤしながら 黒髪の女性に近付いて行く。 黒髪の女性は逃げ道がないか探していると、目を見開き 座り込んで居る男の子が視界に入った。 「まっ、待って!! この子を食べていいから…!! だから私は食べないで!!」 「お母さん…!?」 自分を魔物の方に ぐいぐい押す女性を驚愕の表情で見つめる男の子だが、女性は自分の事で精一杯らしい。 『魔王様、いかがなさいますか?』 魔物が尋ねると、魔王は興味なさ気に男の子を一瞥したが、何かに気付き、男の子に近寄る。 「貴方 その歳で 強大な魔力を持ってるわね…。 全然 気付かなかったわ!」 にこりと笑う魔王に戸惑う男の子。 魔王は そんなのお構い無しで 男の子に抱き着く。 「見つけた! やっと見つけたわ! 私の後継ぎに相応しい子を!!」 『魔王様、人間などを後継ぎ様にして よろしいのですか!?』 驚いて問い掛ける魔物に、魔王は満面の笑みで頷いた。 「勿論よ! と、いう訳で そこの人間! この子は私が頂くわ。良いわよね?」 男の子に向ける優しい表情は消え、もとの無表情で女性に話し掛ける魔王だが、「駄目って言っても 返さないわよ」と、目が言っている。 .
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