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「よかった…。
大分 うなされてらしたので心配いたしました…。
―――起きられますか…?」
「あぁ…」
リュヌが起き上がろうと動くと、ビルフォニアは リュヌの背に手を添えて 支えた。
「悪い…。
シャワー浴びて来る…」
「畏まりました。
もう時間が迫っております故、お早めに…。
御召し物を置いておきますので、そちらを着て下さいね」
ベットから降り、振り返らずに片手を上げて ふらふらと歩いていくリュヌを、ビルフォニアは頭を下げて見送った。
パタン…という扉が閉まる音と共に、ビルフォニアはテキパキとベットのシーツを整え始めた。
それが終わると、リュヌが食事会に着て行く真っ黒なスーツ一式を抱えてバスルームに行き、分かりやすい場所に置いて 元いた部屋に戻った。
「ふう…。あ、私は 何を着て行こうかしらね…?」
おとがいに手を添えて考え込んでいると、扉の開く音がして リュヌが入って来た。
真っ白なワイシャツはネクタイを締めていないせいで雪の様に白い肌と胸板を露にし、右手には 漆黒のジャケットを引っ掛けている。
「なんで食事会ごときに ネクタイなんか締めなくちゃいけないんだ、堅苦しい…」
墨の河の様な髪をサラサラと揺らし、不平を漏らすリュヌ。
ビルフォニアは 壁に掛けてあった黒いマントをとり、リュヌに差し出した。
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