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「…それが、貴方様の仕事ですから…」
今の言葉は、リュヌが使用人達に頼んで言わせている言葉だ。
リュヌが諦めそうになった時、面倒臭いなどと思った時、仕事と割り切らせればやり遂げられるから…と。
リュヌは黙ってマントを受け取り、ポソッと呟く。
「…仕事なら仕方ないもんな…」
手慣れた手つきでネクタイを手早く結び、ジャケットを着たリュヌは マントで全身を隠した。
「俺は1階ロビーに居る。
お前も着替えて 早く来いよ」
背を向けたまま右手を上げたリュヌは、さっさと部屋を出ていった。
残されたビルフォニアは暫く俯いたあと、ゆったりとした足どりで リュヌの部屋を出た。
☆☆☆
「リュヌ様、準備は もう よろしいですか?」
いつもの服装で傍らに控えるアジェが尋ねると、リュヌは壁に もたれ掛かったまま頷く。
「だが、ビルフォニアが まだ来てないんだ…―――」
「すみません!!」
リュヌの言葉に被せる様にして、ビルフォニアの声が飛んで来た。
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