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声のした方に視線をやると、淡いシャンパンピンクのサテン地で出来たドレスを纏ったビルフォニアが駆けて来た。
襟袖が無く、胸元を強調する様にレースが ふんだんに繕われており、腰の辺りでギャザーを寄せてあるせいで、走るたびにドレスの裾がヒラヒラと優雅に踊る。
ドレスと同じ色の靴はヒールが高めで、慣れないのか 動きが ぎこちない。
―――俺の勘が鋭ければ、あいつは絶対…
「お待たせしま……きゃあっ!」
リュヌの前まで走って来たビルフォニアだが、やはりヒールに慣れていないせいで、リュヌ目掛けて倒れ込む………が、
「……っ!!
……あれ? 痛くない…」
「やっぱり こけたか…」
キョトンとしていたビルフォニアは、上を見上げた。
そこには 小さく微笑んでいるリュヌの顔があり、その小柄な体からは想像出来ない強靭な腕で、ビルフォニアを受け止めていた。
「リ、リュヌ様…」
「俺の勘が、“お前は絶対こける”っていってた。
……大丈夫だったか?」
肩を支えられながら 体勢を整えるビルフォニアの頬は真っ赤に染まり、声が出ないのか コクンと頷くだけだ。
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