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「まったくビルフォニアは…。
申し訳ございません リュヌ様」
黙りこくるビルフォニアに変わり、アジェが頭を下げた。
リュヌは首を横に振り、ビルフォニアの頭をポンポンとやりながら微笑む。
「かまわん。ビルフォニアは俺より年上だが、妹みたいな存在だからな。
世話をやきたいし、失敗した分は 俺の警護で挽回してくれればいい」
「リ、リュヌ様に…そう言って頂けるなんて…、光栄至極にございま、す」
茹でダコの様な 鮮やかな赤い顔をしたビルフォニアは、緊張やら何やらで回らない舌を懸命に動かした。
リュヌは「そうか?」と微笑みながら ビルフォニアのサラサラの髪を撫でた後、指をパチンッと鳴らした。
すると、リュヌの傍らに魔法陣が現れ、びしょ濡れのティグルが出現する。……シャンプーハットを被って。
『…なして今呼んだんですか、旦那…』
「出発の直前に呼んで欲しいって言っただろ?
だからだ」
どうやら ティグルは入浴タイムだったらしい…。
濡れた体をブルブルと振り、水滴を そこらじゅうに撒き散らしたティグルは、シャンプーハットを脱いで光り輝いたかと思うと、ミニサイズになって リュヌの肩に乗った。
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