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………散り逝く桜の花吹雪と共に、夢から醒めた世界………
或る者が去り、或る者が嘆き、また或る者は全てを忘れていく………
だが………
その陰で、胎動する神意は世界そのものを飲み込まんとしていた………
風の中で、少女はただ嘆き悲しんでいた……
「嫌だよ……ずっと一緒だったのに、どうして行っちゃうの………」
掛け替えの無い妹との、永久の別れに………
「こんなのって無いよぉ……藍ちゃん…………」
来るべき宿命を知らず、少女はただ嘆き悲しみ続けた……
夜空を見つめながら、母は憂いていた……自らが娘に与えた魔法に……
「ごめんなさい…茜ちゃん………」
この場にいない娘を思い、母は空を見上げ続ける……
近い未来、再び戦場に立つ事になる運命を知らず………
黒い服の少年は、夜空を見上げていた……
「桜内、許せ……今はこうするしか無かったのだ………」
さながら運命を唾棄するかの如く、彼は険しい瞳で空を見上げていた………
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