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「遅いっ!」
カオリが仏頂面で俺の顔を睨み付ける。
なかよし公園。
公園の時計は、7時38分を指している。
待ち合わの時間は40分。
だが、俺が待ち合わせ場所に先に着いて、カオリを待っていなければいけないのだ。
「ごめん。洗濯に手間取っちゃって」
カオリの顔を伺い、なるべく申し訳なさそうに聞こえるよう、言ったつもりだ。
「言い訳?」
カオリの整った顔が俺の顔を覗き込む。
カオリと目が合ってしまい素早く顔を逸らした。
「時間には間に合ってるだろ!」
顔を上げ、カオリの顔をちらりと見た。
その顔にはカオリの髪と同じ色をした、黒茶の眼球が二つ。
その目は静かに怒りをたたえていた。
「逆切れ…?」
唐突な展開。
しかも、静かに怒っていなさる!
「言い訳っていうか…」
俺にも言い分はある。
朝起きたらまずは花に水をやり、兄を起こした。それから、俺は必死に朝のミッション…洗濯、掃除、食器洗いなど…をこなしてきた。なのに、この仕打ちはないだろう?労いの言葉が欲しいくらいだ。
「お……」
と、喋ろうとしたら俺の第一声は無視された。
なぜなら、カオリは俺に背を向け、すたすたと歩いて行ってしまったから。
その背中に、怒りを表しながら…
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