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彼の名はレナード・エリクス。
セオと異なり、戦闘を得意とするコマンダー(法律で、戦闘への介入が認められた者)である。
そして、デュバルムでお宝をコレクションするセオに、とある理由で自分の仕事ついでに情報を提供してくれる心強い旅仲間でもあった。
「またお前、一人で近場の遺跡に言ってたな。収穫はあったか?」
「選ばれた者しか抜くことができない、大岩に突き刺さったままの聖剣エクスカリバーがあったよ」
「へぇ、あの有名な……本物か?」
「いや、錆びてた」
椅子から立ち上がり、大きく体を捻らせながら欠伸するセオの言動に、再び溜め息をつくレナード。
どうやら、偽物の情報を掴まされたらしい……。
「やれやれ、少しは本物と偽物の情報くらい見分けられるようになれよ」
「エクスカリバーの情報なら残り十個はある。一つずつ潰していけば、そのうち本物が――」
「虱潰しかよ。そんな根拠のない情報より、俺が掴んだ聖剣の依頼に乗らないか?」
すると、そんなセオに向けてレナードは手にしていた羊皮紙を手渡してきた。
荒々しい手つきで書かれた文字の上から上物の烙印が押されてある代物であり、それを目にしたセオの視線が一瞬止まる。
それは、コマンダーが依頼を受諾時に貰う依頼状であった。
「何コレ?依頼状?」
「報酬金は微妙だが、お前の目には叶いそうだぜ」
……。
宝物でも見つけたかのような笑みを浮かべるレナードをよそに、セオは首を傾げながらもその羊皮紙を受け取る。
だがこの時、彼らはまだ知らなかった。
その依頼状が巻き起こすこととなる事件が、彼らをこれから始まる長い旅路に導くことになることを……。
…―
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