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それは夜のことだ。
辺りは炎に焼き尽くされ、悲鳴は止むことがなく、焼け焦げた匂いと熱い空気に空は紅く燃え立ち、大地は焦土と化していた。
動ける者は何処かに行き、動けない者は死んでいった。
俺は身体中に傷を負い、自分が生きていることが不思議だった。
助けを呼ぼうにも周りは死体ばかり。虚ろな意識は考えることを止めてただ絶望に染まるだけ。
眼を開けることもままならない俺に、1つの人影が近づいて来ていた。
その人影からは幻聴としか思えない言葉が発せられた。
「助けてやるから、まだ死ぬんじゃねーぞ!!」
それは男の声だった……。
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