my dream

7/19
前へ
/437ページ
次へ
「…違う。あたし…裕太がいたらきっと…アメリカになんて行けないから。好きで好きでしょうがないから…」 「好きならそれでいいじゃないか。僕は羅夢の支えになるよ」 「それがダメなのよ…!」 溜めていた涙は ボロボロとこぼれ落ちて 手は僕の服を掴んでいた 「世界的な歌手になる為の道はね、すごく厳しいの…!天てれのオーディションなんかより何倍も。あたし…口では簡単に夢、夢とか言って、実際は裕太に甘えてたんだよ。でもこれ以上裕太に頼ったら、あたし本当に歌手になれない…!」 「羅夢…」 「裕太は何も悪くないよ…。夢の為に大切な人を手放す自分がいけないの。でもあたし決めたから」 羅夢は涙を拭うと 少しだけ微笑んでみせた 「振り回してごめんね。手紙…書いてきたから、ちゃんと読んでくれる?」 「…うん」 僕に止める権利なんてなかった こんな風に泣くまで悩んで 決断した彼女の気持ちを 無駄になんか出来なかった 「僕、羅夢のこと…本当に大好きだよ。別れてもこの気持ちは変わらないよ」 「ありがとう。あたしも同じ気持ち。裕太…大好きよ」 そう言って彼女は まるで風のように 僕の元から去って行った 小さなハートが 一つだけ描かれた シンプルな封筒を残して―――  
/437ページ

最初のコメントを投稿しよう!

376人が本棚に入れています
本棚に追加