376人が本棚に入れています
本棚に追加
「良かったじゃん、羅夢。これで夢にまた一歩近づけるんだろ?僕は応援してるから。アメリカで思う存分勉強してきなよ」
応援しなくちゃ
きっと羅夢にとって
これはまたとないチャンスで
逃してしまえば
ずっと夢に見ていた
歌手も遠ざかってしまう
そんな思いは
羅夢にはして欲しくない
好きな人には
幸せになって欲しいんだ
「裕太は寂しくないの…?2年間ずっと会えなくなるんだよ。あたしは耐えられないよ…!」
「そんなの…寂しくない訳ないだろ?出来ることなら今までみたいに会いたい時に会いたいよ。でも僕のワガママで羅夢の夢を壊すなんて絶対にいけない。それに…会えなくても手紙とか、連絡取る手段はあるんだから」
僕はまだ子供だから
会いに行くなんて
そんなこと言えないけど
せめて
連絡だけは取っていたい
僕と羅夢が
付き合ってることを
忘れたくないんだ
「今思えばあたし…甘えてたんだよね。夢を追うなら、大切なものを失う覚悟くらい、持たなきゃいけないはずなのに。歌手になった自分の隣には裕太がいるって、勝手に思ってたんだ…」
呟きにも近い声
でも僕の耳には
しっかり聞こえていた
「何か言った…?」
僕は彼女を
問いただすことなく
もう一度と促す
「ううん、何でもないよ」
本当は聞こえてた
どんな意味か
知りたかったんだ
でもとても怖かった
だって僕には
悪い意味のように
聞こえてしまったから
最初のコメントを投稿しよう!