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「…裕太。お願いがあるの」
そう言って彼女が
僕を訪ねてきたのは
出発前のこと
少し俯き加減で
唇を噛み締めている
「羅夢…?」
そう声をかけると
彼女は涙を浮かべながら
真っ直ぐにこちらを向いた
「あたしを…あたしのことを本当に想っているなら、別れて欲しいの。…勝手でごめんなさい。だから、明日も来ないで」
別れる…?
離れることでさえも
受け入れるのに
随分時間がかかったのに
今度は"別れる"だって?
望みも何もないじゃないか
「ちょ…ちょっと待ってよ。想っているなら…ってどういうこと?想ってるからこそ離れても大丈夫なんじゃないの?」
悪い予感はしてた
でもそれが
本当に的中するなんて
僕には覚悟すら
出来ていなかったんだ
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