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あれから時は過ぎ
異国の地で
歌を学ぶ彼女を
僕はずっと待っている
手紙には
ああ書いてあったけど
僕の夢は
好きな人の夢が叶う瞬間を
一番傍で見ていることだから
羅夢、
君が帰ってこなきゃ
意味がないんだよ
「…裕太!」
今日僕が訪ねたのは
戦士仲間だった樹音の家
久しぶりに
同い年のメンバーで
集まることになっていた
「久しぶり、樹音」
2年ぶりの樹音の姿
昔も今も変わらず
スタイルは良いままで
時間の流れを感じた
「みんな来てるよ」
そう言って
案内されたのは
広いリビングだった
室内には懐かしい面々
拓巳に一磨
ライアンや千帆
あかり、聖斗、聖夜もいた
みんなそれぞれが
随分と成長していて
聖斗に至っては
一番身長が低かったのが
全員を軽く超えている
「聖斗…身長…」
思わずそう呟くと
みんなが一斉に笑い出した
「え…え!?」
「も~なんなの?久しぶりに会ったっていうのに、いきなりそれ!?裕太は相変わらずだなあ」
クスクスと笑いながら
あかりがそう言う
「ああ…ごめん」
「ほら!早く始めよーぜ。俺、お腹ペコペコだよ~」
その聖夜の声で
楽しい時間は始まった
それぞれが互いに
懐かしい思い出話をしたり
近況を教え合ったりして
いつもなら
こんなに楽しい時間なら
あっという間に
過ぎてゆくはずだった
でも僕の心は
どこか満たされなくて
これはきっと
彼女がいないからだと
ちゃんと分かっていた
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