149人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
昼休み、学校の屋上でご飯を食べる。一人きりで。
学校の屋上は立ち入り禁止になっていて、ここには誰も入ってこない。
だから私は気分がいい。
こんな広々として気持ちいいところを独占出来て幸せだ。
快晴の空にさわやかな風が吹き抜けていく。暖かい陽射しが心地いい、私はずっと、ずっとここにいたい気分になった。
「おい…兎野…」
よし、五時間目なんてサボっちゃえ☆なんてな事を考えていた時に後ろからとてもとても低い声がかかる。
恐る恐る振り返れば、そこには生徒指導の城戸哲哉(あだ名はキドテツ)がいた。
「お前、そこで何やってるんだ?」
ぴくぴくと眉を引き攣らせて聞く先生の顔はそれはそれは怖かった。
「ちっちょっと…天気がよかったので此処で昼ご飯を…」
城戸は先生の中で1番顔が怖く、あまり話したことがない先生だったため緊張して声が裏返ってしまった。
「屋上は立ち入り禁止なのをわかっていてか?」
うわぉ、とてつもなく怖い顔で城戸がこちらを睨む。なんと眉間にシワ三本。寄せすぎ、寄せすぎ。
「気持ちがよかったもので…つい」
私は緊張のあまりについ腰を低くして両手を擦りながら言い訳をしてしまう。営業マンじゃあるまいに。
しかし、どんなに腰を低くしたところで指導室行きは免れないだろう。
ウエルカムです。不良のレッテル。
私は有無を言わさず指導室に連れていかれた。
最初のコメントを投稿しよう!