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「じゃあ、みんなまたな!」
俺はホームルームが終わると同時に教室を一足先に飛び出した。
まだ人の少ない廊下を全速力で走り抜け、階段を駆け下りる。
俺の名は守沢秀馬(モリザワ シュウマ)。
ただいま青春真っ盛りのどこにでもいる普通の高校1年生だ。
が、今俺はある目的のために家へと急いでいる。
「ただいま!」
学校から家まで走って約5分。
誰もいない家の中に叫んで、ドタドタと2階へ向かう。
1段1段上るのももどかしく、一段飛ばしで急な階段を上り終えると奥の俺の部屋に雪崩れ込むように到着。
簡素な部屋の中央に鎮座するそれに気づいた俺は、早速それを手に取った。
逸る気持ちを抑えつつ、慎重に箱を開け、中を確かめる。
中に入っていたのはゲーム。俺が首を長くして待っていたゲームだ。
その名も『バーチャルメモリー』。専用のヘッドホンをパソコンと連動させ、ゲームをプレイする。
ゲーム中、俺の意識はヘッドホンを介して向こうの世界に連れて行かれる。
体はゲームの中で自由自在に動け、感覚もあるらしい。
かなりリアルに作られたオンラインゲームなのである。
俺はヘッドホンを早速頭に着け、付属の説明書の操作方法を要点だけ読むと、パソコンとヘッドホンをワイヤレスで繋いだ。
後はゲームをスタートさせるだけ。
俺の中のゲーマーの血が騒ぐのを感じた。
俺は椅子に腰掛けると、何も考えずにヘッドホンのゲームスタートボタンを押した。
俺の意識はその瞬間ゲームの世界へと飛んだ。
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