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すると、固まっている俺を察してか、寝子は、寝子の肩に置いた俺の手を、優しく握りながら…
真っ赤になって、それでも俺から目を逸らさずに…じっと見つめる。
「紀和、ありがとう。あたし…すごく嬉しい。紀和に、こんな形で、だけど…気持ちが…伝えられて…」
嗚咽交じりに呟く寝子の目からは、涙が零れだす。
それを見て、近くにいた女性が、寝子の目に、持っていたハンカチを当てて、その涙を拭ってくれた。
寝子は、その女性にもたれかかり、その胸の内で…ぅぅっ…と嗚咽を漏らしている。
俺は、その姿を、寝子に手を握られたまま、見つめていた。
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