み串め…

52/53
前へ
/927ページ
次へ
   すると、固まっている俺を察してか、寝子は、寝子の肩に置いた俺の手を、優しく握りながら…       真っ赤になって、それでも俺から目を逸らさずに…じっと見つめる。     「紀和、ありがとう。あたし…すごく嬉しい。紀和に、こんな形で、だけど…気持ちが…伝えられて…」      嗚咽交じりに呟く寝子の目からは、涙が零れだす。       それを見て、近くにいた女性が、寝子の目に、持っていたハンカチを当てて、その涙を拭ってくれた。      寝子は、その女性にもたれかかり、その胸の内で…ぅぅっ…と嗚咽を漏らしている。    俺は、その姿を、寝子に手を握られたまま、見つめていた。     
/927ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加