第一章

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俺の腕の中に納まった彼女は気を失っていて、でも体に異常はなさそうだっただので家に連れてきたのだ。 念のために医者をしている友人に診てもらったが、単なる栄養失調だと言うので点滴だけ打ってもらった。 しかしまだ意識を戻さない。 自分はずいぶん面倒な拾い物をしてしまったようだ。 最後の資料に目を通してデスクに置いてため息をついた。 明日、意識を戻さなければ病院に連れて行こう。 帰りの支度をするために椅子から立ち上がる。 (こんこん) ドアをノックする音がして顔を上げる。 「田嶋です。」 「ああ、入れ。」 ドアを開けて入ってきたのは田嶋 章吾、とても優秀な秘書だ。
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