『真・羅生門』

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そこには交わる二人の姿があった。いや、明確には一人と一つの肉塊の交わる姿。女の亡骸を抱く一人の頭の禿げた男の姿がそこにはあった。 ─死姦。 話には聞いてはいたものの初めて見た。想像を越える景色。 下人は刀を抜く。そして死体に向かって振り下ろす。固い。固い。生物としての活動を停止した「それ」は斬るにつまらない切味。 「あぁぁあ……!」 無様に引き下がる無能な下衆。 下半身を晒し間抜けな姿。
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