『真・羅生門』

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「爺。なぜに俺を喰らう……。」 声が震える。ずりずりと体が引っ張られていく。 老人は揚々と答えた。 「美味いし、生きなきゃならんのでな。」 当たり前。この答えを聞くのも何度目だろう。 「ぐえっ、ぐえっ、儂が死んだら…羅生門から一人として僧が居なくなるからな…それに貴様は悪人。仕方のないことじゃて」 ずりずりと引かれる中、下人の意識は途絶えた ばち ばち ばち ばち ばち ばち ばち ばち ばち 闇夜を不気味な笑い声と怪しげな火の光が覆う…………………。
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