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「あったかーい……」
スイカが飲むコーヒーには砂糖、ミルク共にコーヒーの味を失わないぎりぎりのところにまで調整して入れてある。
ヨーヘイはいつものように、砂糖とミルクが一つずつ入ったコーヒーを飲んでいた。
「スイカ、その中身は?」
ヨーヘイは、彼女が先程まで両手に抱えていた箱を指差して聞いた。
「バレンタインのプレゼントだよ。」
「やっぱりチョコなのか?」
「ううん、実は違うんだ。」
ヨーヘイは箱を素早く手に取って包装紙を開けようとしたが、スイカがそれ以上に素早い動きを見せて、ヨーヘイの手から箱を奪い取った。
流石は卓球部である。
反射神経が人並み以上だ。
「そんな事されると、余計気になるだろ。」
「ヨーヘイ、文句言わない?」
「言わないよ。」
「絶対…?」
「絶対。」
スイカは「じゃあどうぞ……」と言わんばかりに、恐る恐る箱をヨーヘイに差し出した。
ヨーヘイはそれを受け取り、包装紙をゆっくりと剥がす。
中からは、きらびやかなパッケージに身を包まれた、おもちゃのケータイ電話が出てきた。
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