第一章 ~メール~

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その満面の笑みが、今だに思い出されてくる。 ヨーヘイは古本屋を出た。 春先の暖かな風が頬を撫でる。 街路樹を見上げてみると、風になびいて大きく揺れていた。 ここ何日か、このような強風の日が続いている。 ヨーヘイは自分の心のざわめきが、このような映像を見せるのだと思うようになった。 不意にケータイのメール着信音が鳴る。 ヨーヘイはメールの内容を確認する。 送信者はアキラ。 ヨーヘイと良くウマが合う友達である。 メールの内容は『もうすぐ着く』という知らせだった。 一時間も遅刻しておいて、よく気軽にメールを送る事ができるなと、ヨーヘイは思った。 その間に、ヨーヘイは古本屋の隣にある花屋に寄る事にした。 そこで、目にとまった花をよく買うのだ。 今日は、綺麗なチューリップの束を買った。 「また花かよ。」 ヨーヘイは急に声をかけられたので驚いて振り向いた。 花屋の表にアキラがいた。 手には犬のぬいぐるみ。 「悪いかよ。」
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