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「アレって……?」
「アレだよアレ。あのおもちゃのケータイだよ。お前俺に話してたじゃないか。」
ヨーヘイは少し考えた。
「そういやあったな、そんなもん……」
あのバレンタインの日、ヨーヘイは既にケータイ会社と契約を結んでいた。
高校に上がる前に、中学の友達からメルアドを聞くために、親に購入を急かしていたのだ。
スイカはケータイを持っていなかったので、あの時のおもちゃを子供のような輝く目で遊んでいた。
彼女の可愛いところは、そのように子供っぽいところでもあったり、意外に勉強はしっかりしていたり、普段は大人しいのに卓球になると容赦なかったりと、その辺の女の子とは一味違うところだった。
そのため、小学生が買うような子供向けのおもちゃを、バレンタインのプレゼントにした時には、呆れるというよりもむしろ、彼女らしいと思えて安心したものだ。
そういえば、あのおもちゃのケータイ電話は、今どこにあるだろうか。
ヨーヘイは気になってきたので、アキラの方を向いて言った。
「それ、ちょっと今から探してみるわ。おれ、今から家に帰る。アキラどうする?」
「あそこに寄って帰るから、先帰ってていいぜ。」
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