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勉強しようって言い出したのは、彼女のほうだ。
なのに、いつのまにか隣りで寝ている。
静かすぎる図書館の魔の手が、彼女を夢の中にいざなったのだろう。
彼氏の俺を置いてけぼりにして。
一応は、教科書やノートらを広げて、間近に迫る期末テストに向けて勉強したのは最初の五分という短時間で終わった。
勉強する素振りを周りの利用客にアピールしながら、ちらりと彼女に視線に移す。
寝顔をみられたくないのか、俺には頭と背中だけしか見えない。
あぁ、あいつの寝ている顔めちゃくちゃ可愛いのにな。
みていて癒される点と、普段から騒がしい彼女が眠ると、こうも静かに退屈な時間と遊ばなくてはならない点が、俺を葛藤に追い込む。
おい、起きろと起こす勇気がないまま、彼女が夢から覚めるのを待つのみだった。
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