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「リョウ……好きだよ」
いつものように、彼女に名前を呼ばれるのは当たり前の日常なわけで。
でも、そのあとに、確かに、今、彼女の口から飛び出した言葉は、俺の妄想の中でしか聞かない。
末永く続くはずの男女の友情が、これから壊れゆく様を、俺は感じた。
君への想いを解放する日が、やっと訪れた瞬間だと思った。
俺も、実は…
「……なぁんちゃって」
と、彼女は笑う。
瞬時に俺の心は姿勢を正す。
彼女の背後にあるカレンダーをみて、彼女からの突然のぶっちゃけのタイミングが分かったのだ。
「もっとマシな嘘をつけよ」
って、いつもの平常心に素早く切り替えて、俺は頑張った。
来年の同じ日に、
俺も彼女に嘘を付いてやる。
駄目でも嘘になるから。
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