53人が本棚に入れています
本棚に追加
「──なんなんだ…!?あの
青年は…!」
「強い…」
「初めて見る顔だぞ」
侑士が相手に勝つ度に周囲が
ざわめく。
が、一人の男の声によって、
ざわめきが一瞬にして静まり
かえることになる。
「おい、試験の様子はどうな
のだ?」
「王……!」
「王だぞ…!!」
そう、そこに王が現れたのだ
。皆、一斉に頭を下げる。
審判が王の質問に答える。
「はい、順調でございます」
「そうか。それならよい。な
かなか面白そうだ。私も見さ
せてもらうぞ。……景吾、お
前もこちらに来なさい」
「はい…父様」
周りがまたドッとざわめき始
めた。滅多に人に姿を見せな
い王子が現れたからである。
「凄い…!王子だ!」
「景吾様だ…!!」
王子──景吾はとても美しく
、父の傍らに静かに立ってい
た。
「「────…」」
侑士と視線が一瞬交わる。
王が、口を開いた。
「景吾」
「何ですか?父様」
「しっかり見ておきなさい。
お前の護衛が決まるのだぞ」
最初のコメントを投稿しよう!