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 三人でそんな会話をしながら  歩いているうちに、少しずつ  城が見えてきた。周囲に三人  と同様に試験を受ける者達が  ちらほら現れはじめた。  その様子を見、岳人と謙也は  また更に緊張感が上がったよ  うだったが、侑士はとても穏  やかな表情をしていた。  “やっと、やねんな…”  侑士がこの試験を受けに来た  のは村の環境を少しでも良く  出来たら、という思いからだ  。岳人と謙也だって、それは  同じこと。王家に仕えるのは  国中で一番稼げる仕事だから  だ。  ただ、侑士にはもう一つ違う  理由が存在していた。  幼なじみである岳人も謙也も  、誰一人知らない、もう一つ  の理由が。  「とうとう着いたな…」  「せやね」  「じゃあこっから侑士とは別  々やな」  「あ、そうか!侑士…筆記無  いんじゃん!ずりいー!」  「岳人はホンマ心配やわ…」  「ま、二人とも頑張りや?」  「おう!」  「おん…侑士もな」  「ほな、俺はあっちの武闘場  やから。またな」  二人に手を振り、侑士は武闘  場へ足を進めた。  
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