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「や、やあ」
「やあ!」
意味のわからん事、口ばしってしまった。
けど臆さないなこいつ・・・。
後ろに組んでた手を、片手だけ、空高く上げやがった。
仕方ないか。まだガキだし?
ふっ、と溜息をつくと、俺は
膝を抱え込み座り直した。
とにかく突き飛ばされたはいいが、地べたに足広げて投げ出されたままなんてカッコわりぃ。
・・・あいつ、覚えてろよ・・・。
ココロの中で毒づき、でも目の前のこいつには笑って見せた。
「おまえ、なんでこんなとこにいるワケ?」
いわゆる体育座りをしながら、膝に顎を乗せ、
ゆらゆらとからだを揺すった。
こいつはまた後ろに手を組み、俺をのぞきこんでくる。
「・・・だって、ココ私のお家だもん」
言いながら指さした先は、まさしくこいつの家だった。
いや。
そういう意味じゃ・・・。
って。やべぇ。
なんだってこいつと口聞いて・・ってその前に、俺が見えるって言うし・・・。
う~ん・・・と頭をフル回転させながら唸った俺に、
「お兄ちゃん、カッコいいね!」
ははは・・・
何言ってんだかこいつは。
「お兄ちゃんがなんでここにいるか知らないけど、パパに見つかったら怒られるよ?」
あ・・・。言い終わらないうちに、父親らしき男の太い声が耳に入ってきた。
俺の耳は、とってもイイのだ~!
と、フザけてる場合じゃねぇ。
事をこれ以上大きくしないっと。
「ぉ~・・・い」
「お兄ちゃん、ほら、パパが!」
父親の方へ顔を向ける。
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