【rainbow butterfly 1】

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「お兄ちゃん・・・」 視線を戻した先に、 俺はいねぇ。 これでいいのだ・・・。 はぁ。 疲れた。 体から力が抜ける。 脱力していると、父親がこいつの元へ走ってくる様子が見えた。 俺はあの一瞬でそばにあった生命へと、軽く登っていた。 身軽さも取り柄。 「だめじゃないか・・・」 父親はそう言いながらあいつを抱きしめた。 娘の姿に安心したんだろう、顔が泣きそうにも見えた。 そうだろうよ。 目を離しなさんな。 また溜息をつく。 ・・・イヤだよ、こんなの。 そのまま、後ろの太くて、ごつごつした手触りのする生命に寄りかからせてもらった。 あったかいな。 おまえ達は・・・。 目を瞑ると、浮かんでくる。 あの姿。 おぼろげに。 あの顔・・・。 「・・・お兄ちゃん」 ! なんでだよ! 抜いてた力が一気に入り、俺はこの星の重力のままに下へ落ちそうになる。 あぶねぇ。 「お兄ちゃん・・・」 まだ言ってるのか。 なんなんだ。 変なやつ。 「お兄ちゃん? 誰だい?」 抱き上げたあいつと同じ目線になった父親が、不安げに話す。 「さっきね、いたんだ。怖くなかったよ。だってカッコいいの!」 ・・・ バカだ。 ほら、父親も、おまえを呆れた顔で見てるぞ。 だけど・・・ あれは、子供を見る父親の愛情のこもった顔っていうんだろうな。 すげ~・・・ココロがあったかくなる顔だ。 その顔を見てると、安心して寝れるんだろうな・・・。
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