村上妙子はデキル女

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 煙草を深く吸うと、溜息と同時に煙を吐き出す。  空気清浄機が動き出す音が聞こえた。  髪を縛ったゴムを外し、頭を軽く左右に振る。  髪をひと房掴み、そのにおいをかいでみる。 (たばこくさいな……)  妙子は煙草を灰皿で二回叩いて灰を落とすと、もう一口煙草を吸ってからそれを置く。 カタカタカタカタ……カチ……カチ……  煙草はだんだんと、その身を灰に変え、煙はゆっくり、真っ直ぐと天上へと昇っていく。  妙子は煙草の存在を忘れたかのように、無表情でキーボードをたたき続ける。  今やっている仕事は、別に今日の内に片づけなければいけない物ではない。  しかし、優秀な妙子は知っている。  仕事は全て、片づけれる時に片づけておくべきだ……と。
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