村上妙子は煙草をくゆらす

村上妙子はデキル女

　二人は恋人同士などではなく、手すら握ったことも無い関係。
　この奇妙な共同生活は、はじまってもう四年は経つだろうか？

　事の始まりは、今日と同じ理由。

　その日妙子は、翌日までに仕上げなければいけない仕事を残し、当時は同僚であった一郎の家に転がり込む。

　もちろん妙子は大人の女性である。
　女が男の家に泊まると言うことが、どういう結果を招くかは十分に理解しての行動だ。
　もっともその日は、山の様な仕事を抱え、それどころでは無かったのだが。

　まあ、お互いに恋人もいないし、誰に迷惑をかけることも無いだろう。
　守る所さえ守ってくれれば、セックスも嫌いではない。

　そんなきっかけで、二人の共同生活は緩やかにスタートし、それを望んでか望まずにか、何事もなく今日まで続いている。