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「ハァハァ…ここは?」
俺は息も絶え絶えにやっと自転車を止めたカジに尋ねる。
途中一つも信号に引っかからなかったせいで自転車を30分くらいの間ひたすら漕いでやっと辿り着いた目的地、そこは一つのゲームセンターだった…
…だが、俺の予想ではそのゲームセンターの自動ドアは開きそうもない。
何故かって?
…それは、ガラスの自動ドアから覗く限りでは、このゲームセンターの中は真っ暗で人は一人もいない。
時刻もまだ9時より前だろう。
ゲームセンターの看板には、朝10時開店と書いてある。
俺は、息を通常の状態に戻しながら、自転車を止めて自動ドアの前まで歩いていくカジに話しかける。
「まだ開店前だぜ?帰ろうよ…」
だが、その言葉を聞き、振り返るカジの目は幼い子供の様な輝きが確かにあった。
そしてカジは、満面の笑みで俺に向かって叫ぶ。
「いいから来てみろよ!」
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