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「どうだ?…驚いたろ?」
カジが俺に向かってニカッと笑顔を向ける。
「…ああ。」
「どうだ?やってみたくてワクワクしてこないか?」
「っ……」
俺は、カジの言葉に息を詰まらせたが、確かにワクワクしていた。
丁度その時だった。
ゲームセンターの中から電灯の明かりが灯り、俺達は驚いてその方向を見る。
店の中からメガネをかけたオールバックの男が現れる。
ゲームセンターの中にいる事と、そのゲームセンターの制服だと分かる黄色いシャツから、その男は店員だと容易に想像出来た。
その男は、自動ドアのロックを外すと、店から出てきて、俺達の眺めていた張り紙を指差しながら俺達に向かって呟く。
「エントリー済みですか?」
「あ、いえ…まだ…」
「エントリーはしたいんですけど。」
そのぐぐもった声が少し怖いと感じながら、俺はとっさに返事をしていた。
カジは俺の言葉に付け足しをしてくれた。
すると男は、手をひらひらさせて中に入れと指示する。
俺達は顔を見合わせ、戸惑いながらもそれに従う。
俺達は男に誘導されるがままにそのゲームセンターの奥へと進む。
ゲームセンターの奥、右端にあるエレベーターに乗り込むと、その男は丁度リモコンに似た機械をポケットから取り出し、そこにあったたった一つの赤いボタンを押す。
すると、エレベーターは勝手に動き始め、ドアの上にある表示には、エレベーターのボタンにはないB1と表示され、ドアが開いた。
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