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何もかもが焼け焦げ、淀んだ空気が流れるその街に、一人の人間が現れる。
体格の華奢さから、女の子であろう。
年は俺と同じくらいか少し上くらい…と、何故だか本能的に解釈した。
朱色のマントを羽織りフードを深く被っているが、綺麗な白い首筋から口元までが見えている。
その美しさから、隠れていないその部分のみに見とれていると、その潤った紅い唇が微かに震える。
彼女は、しゃがれた声で…怯えた声で…それでも澄んだ美しい声で、確かに呟いた。
「――止めて。」
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