Prologue...

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――「サイク王国」プラト荒野 今、この広大な土地は何百万もの魔物と魔族によって埋め尽くされていた。 王国の兵士たちが魔物の大群を迎え撃とうとしているが、全ての兵士が圧倒的な戦力の差に呆然としている。 「こんな大群初めて見たよ……」 一人の兵士が、目の前に広がる絶望的な光景を見ながら言った。 「あぁ、勝てる気がしない…」 大剣を持った女性の顔は絶望にそまり、迫りくる死に恐怖しているようだった。 魔物達の唸り声が響く中、突然、銀のフードコートのフードを深く被り、顔の3/4を隠してしまう銀の仮面を着けている人物が魔物の大群と王国の兵士の間に現れた。 一部の王国の兵士たちがそれに気づき、逃げろと叫ぶがその人物は、動こうとしない。 しばらくして、その人物はまだ幼さが残る声で呟いた。 ???「…運命の欠片<Piece of Destiny>。」 刹那、その人物の周りに大量のトランプが浮かびあがった。 それを見て、王国の兵士長はハッ!と気づいたようにその人物を見た。 「ま、まさか…あのお方は…」 兵士長が次の言葉を言う前に、その人物は宙に浮かぶカードを一枚掴み、魔力を込めながら言葉を紡いぐ… ???「Dia-No.5白光魔法<ブライトネス>」 突如、数百万の魔物の足元に超巨大な魔法陣が現れた。 それは、魔族達に考える暇も与えずに輝き始めた。 浄化する。まさに、この表現が適切であろう。 数百万の魔物は数十秒の間に浄化されてしまった…。 ???「…任務完了」 そう呟いた人物は、転移魔法を使い消えてしまった。 残された兵士が唖然としている中、兵士長が言った。 「あ、あの人が[銀の道化者]…」
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